疾病リスク低減表示の案、同意得られず

「食」の機能性

 消費者委員会新開発食品調査部会が3月1日開かれ、消費者庁から特定保健用食品(トクホ)制度の改正案が示された。「再許可等トクホ」「規格基準型トクホ」の改正案については賛同を得たが、「むし歯の疾病リスク低減表示」の案に対しては多数の委員が問題点を指摘し、同意を得られなかった。

 消費者庁は、疾病リスク低減表示に「むし歯のリスクを減らす可能性があります」という表示を追加し、申請の考え方を通知で示す方針を示した。

 案によると、「むし歯のリスク低減」の効果を証明するために、サロゲートマーカーの「プラークpH、脱灰・再石灰化」を評価指標に位置づけるという。合わせて、現行の「(疾病名)のリスクを低減するかもしれません」という表現方法を「――可能性があります」に見直す考えだ。

 この案に対し、複数の委員が「プラークpH、脱灰・再石灰化」は疾病リスク低減を評価する直接的なマーカーではなく、適切かどうかの検証が不十分などと指摘。「――可能性があります」の表現についても、科学的に整理されたものかどうかが疑問とする意見が寄せられた。

 各委員の同意が得られなかったことから、議論を仕切り直す方向となった。

 規格基準型トクホについては、現行制度では1成分につき1つの機能性しか表示できない。これを複数の機能性を同時に表示できるようにする方針が示された。

 改正案の対象成分は、難消化性デキストリンのみ。現在、同成分を配合した商品の機能性として、「お通じが気になる方に」「食後の血糖値が気になる方に」「食後の中性脂肪が気になる方に」の3種類がある。改正後はこのうちの2つ、または3つすべてを同時に表示できるようにする。

 再許可等トクホについては、対象範囲を拡大する方向性が示された。消費者庁の通知は、対象範囲を「商品名」や「風味」の変更などに限定。一方、消費者委員会の部会長決定はもう少し広い範囲を対象としており、消費者庁との間でズレが生じていた。このため、消費者委員会の考え方に歩み寄るかたちで、対象範囲を広げる考えだ。

 再許可等トクホや規格基準型トクホの改正案については、各委員の同意が得られた。消費者庁では「了解を得られた内容については、パブリックコメントなどの手続きを経て通知する」(食品表示企画課保健表示室)と説明している。

(木村 祐作)

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