国際農研は1月12日、東京大学大学院農学生命科学研究科とマダガスカル国立栄養局との共同研究により、深刻な栄養問題を抱えるマダガスカルの農村地域を対象に、主食である水稲の収量増加が農家の栄養改善に有効であることを明らかにしたと発表した。研究成果は、国際科学専門誌「Food Security」電子版に掲載された。
今回の研究により、水稲収量が増えると、コメの自家消費量だけではなく、コメを販売した現金収入によって、栄養価の高い食品(野菜、果物、肉・魚)の購入量も増加することがわかった。
これらの購入行動を通じた消費する食品の多様化により、エネルギー供給量だけでなく、ビタミンA、亜鉛、鉄分などの微量栄養素の供給量も増え、栄養改善に貢献することが示唆されたという。
これまで、サブサハラ・アフリカの農村地域で、主食作物の生産性向上が農家の栄養供給に及ぼす影響を評価した事例は限定的だった。今回の研究では、水稲の生産性向上に関する技術的介入によって、消費や市場を通じた購買行動の多様化が生じ、貧困農家の栄養改善につながることを見いだしたとしている。
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