スギ花粉の抗原タンパク質が皮膚バリア機能低下の一因に

「食」の機能性

 富士フイルム(株)は10月19日、スギ花粉に含まれる抗原タンパク質「Cryj2(クリジェイツー)」が、皮膚バリア機能の低下を引き起こす一因となることを突き止めたと発表した。

 スギ花粉は、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状とともに痒みや赤みなどの肌トラブルを引き起こすことが知られている。アレルギー症状や肌トラブルを引き起こす原因は、スギ花粉の外皮に存在する抗原タンパク質「Cryj1」と、スギ花粉の内部に存在する抗原タンパク質「Cryj2」であると考えられている。

 「Cryj1」が皮膚の炎症やバリア機能の低下を引き起こすことがすでに報告されているが、「Cryj2」の皮膚への影響については、その詳細が明らかでなかった。このため、同社では、スギ花粉に含まれる「Cryj2」が皮膚に与える影響について研究した。

 ヒト表皮細胞に「Cryj2」を各濃度(1、5、10μg/mL)で添加し、24時間培養。培養後に同細胞を回収し、INVとSCFの遺伝子発現量をPCR法によって測定した。「Cryj2」添加なしのヒト表皮細胞の遺伝子発現量を基準値(100%)とし、「Cryj2」添加時の同発現量を相対値で示した。

 その結果、「Cryj2」を添加したヒト表皮細胞は、すべての濃度で、「Cryj2」添加なしの同細胞と比べて、INVの遺伝子発現量が減少し、SCFの遺伝子発現量が増加した。「Cryj2」10㎍/mlを添加したヒト表皮モデルは、INVの遺伝子発現量が約30%減少し、SCFの遺伝子発現量が約2倍に増加したと報告している。

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