デジタル・ショッピングモール運営業者などにも、消費者を保護するために一定の責任を課す「取引デジタルプラットフォーム(DPF)消費者保護法」が5月1日、施行された。
ネット通販をめぐる消費者トラブルが後を絶たないため、DPF運営業者に、消費者利益の保護に向けた取り組みを促すのが狙い。努力義務として、(1)販売業者(出店者)と消費者の連絡を円滑化する、(2)消費者から苦情を受ければ調査する、(3)販売業者に身元確認のための情報提供を求める――を規定している。
同法では、危険な商品や偽ブランド品などが販売された場合に、国がDPF運営業者に対して出品の削除を要請できる規定も設けた。販売業者の特定が困難な事案が対象となる。
また同法は、トラブルに遭った消費者が販売業者を相手取って損害賠償請求を行う場合に、販売業者の情報の開示請求権を創設。開示される情報は住所や電話番号など。債権額が1万円を超えるケースが対象となる。
同法の施行にともない、消費者庁は官民協議会を立ち上げる。官民協議会は行政、事業者団体、消費者団体、学識経験者で構成。最新情報を共有し、悪質業者への対応などを話し合う。
同法は、アマゾンや楽天市場などに代表される「BtoC(事業者・消費者間の取引)」サイトが対象。原則、消費者間で取引されるメルカリなどの「CtoC」サイトは適用外となる。ただし、実質的にビジネスとして「CtoC」サイトに出品する業者については、同法の規制対象となり得る。
消費者のふりをして「CtoC」サイトなどで販売する業者が、消費者とトラブルを起こした場合にも同法が適用される。
「隠れB(ビジネス)」か「消費者」かを判断する目安として、消費者庁は「販売業者等ガイドライン」を公表している。
(木村 祐作)
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