慶應義塾大学医学部漢方医学センターの呉雪峰研究員らの研究グループは2月7日、日本の成人女性約1,200人を対象に、冷えの自覚症状に関する初の網羅的なゲノム解析を実施し、冷え症と関連するゲノム領域を見いだしたと発表した。研究成果は1月22日、国際科学雑誌「ScientificReports」に掲載された。
冷え症は、腰や手足などを冷たく感じ、痛みなどを伴う状態。女性に多く、その原因は、女性ホルモンの乱れや自律神経の失調などが考えられる。今回の研究の結果、KCNK2遺伝子近傍のrs1869201一塩基多型と、TRPM2遺伝子上のrs4818919遺伝子多型などが、冷え症のリスクと関連していることが示唆された。
これらの一塩基多型は、それぞれ冷え症に関連するタンパク質の発現量を変化させることで、冷え症のリスクを高めると考えられている。また、これらの遺伝子に由来するタンパク質は温度だけでなく、痛みの感度にも関連しているため、冷え症の患者がさまざまな疼痛疾患を合併していることを説明できる可能性があるという。
さらに、一部の生薬がこれらのタンパク質の作用に影響することも報告されていることから、漢方薬の冷え症に対するメカニズムの解明にも重要な意義を持つとしている。
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