拒食症の脳機能異常を網羅的に解明

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 千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの研究チームはこのほど、全国5施設との共同研究により、脳機能画像の大規模解析を実施し、世界で初めて神経性やせ症における脳機能異常の網羅的な解明を行ったと発表した。研究成果は学術誌「Psychological Medicine」のオンライン版に掲載された。

 神経性やせ症は太ることへの恐怖から過剰な食事制限や運動を続け、著しい体重減少をきたす摂食障害。長期的死亡率も18%と全精神疾患の中で最も高い重篤な疾患だが、どのような脳の異常により引き起こされているかはわかっていなかった。

 これまで神経性やせ症で生じている脳の機能異常を明らかにするために、脳の活動状態を調べることのできるfMRIを用いて、安静時の機能的結合性を調査する研究が行われてきた。しかし、解析された神経性やせ症のfMRIデータは30人以下とサンプルサイズが小さかったため、信頼性の不足が不足し、また脳の一部の領域間の機能的結合性の解析しか行えていなかった。

 このため、研究チームでは、多施設共同研究により十分なサンプルサイズを確保した上で、全脳の全領域間で機能的結合性の解析を実施。神経性やせ症状で生じる脳機能の異常を高い信頼性をもって網羅的に解明することに成功したという。

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