改正消費者契約法案が5月25日、国会で可決・成立した。次々と出てくる新たな悪質商法に対応するため、消費者が商品・サービスの売買契約を取り消せる権利を拡大した。公布から1年以内に施行される。
消費者契約法は改正のたびに、消費者が契約の申し込みを取り消せる権利を拡充してきた。今回の改正では、3つの行為を取消権に追加した。
(1)勧誘の目的を明らかにせずに、帰ることが困難な場所へ連れて行って契約させる行為。健康食品の販売が目的であることを知らずにツアーに参加し、本当のことを知っても離島のために帰れないといったケースなど。
(2)威迫する言動を交えて、消費者が相談のために家族や知人に連絡することを妨害する行為。美容医療の契約に勧誘されて「両親に相談したい」と言う消費者に対し、「自分で判断しろよ」と迫って相談を妨害するケースなど。
(3)契約前に商品の現状を変更し、元に戻すことを困難にする行為。商品パッケージを破って中身を見せて、買わざるを得ないようにするケースなど。
事業者の努力義務も拡充する。契約解除手続きに必要な情報提供を努力義務として、事業者に課す。契約が自動更新されるサブスクリプションサービスで、解約をめぐる消費者トラブルが多発していることに対応する。
国会では付帯決議も行われた。判断力の低下といった多様な事情に応じて、消費者が契約の申し込みを取り消せる制度を含む「網羅的なルール」の検討などを求めた。
(木村 祐作)
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