消費者庁、トクホ制度全般を見直しへ

健康食品/サプリメント

マイナーチェンジは今年度中に実施

 消費者庁の「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会」は3月19日、検討結果を取りまとめ、特定保健用食品(トクホ)制度全般の見直しを提言した。トクホ制度の改正に向けて、消費者庁は来年度から、今後の検討に必要な情報の収集を開始する計画だ。

 同検討会はトクホの「疾病リスク低減表示」の拡充について検討したが、合意できたのは「許可文言の柔軟性」と「虫歯のリスクを低減する表現方法の見直し」のみだった。

 許可文言の柔軟性については、現行ルールの下、「疾病リスク低減表示」は定型の許可文言とされているが、一定の範囲内で表現方法を変更できるようにする考えだ。また、許可済みの「虫歯の原因にならない甘味料を使用」という間接的な表示に加え、「虫歯のリスクを低減」という直接的な表現も可能とする方向性が示された。

 この2点について、消費者庁は今年度中に取り組む方針だ。「調査事業などで情報収集したうえで検討し、通知を改正する」(食品表示企画課)としている。

 同検討会は当初、「カルシウムと骨粗しょう症」と「葉酸と神経管閉鎖障害」しかない疾病リスク低減表示の拡充を目指していたが、多数の委員が反対したことから断念した。

健康・栄養政策との「交通整理」

【解説】

 反対意見が出たのは、国の健康・栄養政策と齟齬が生じるため。消費者庁案は、欧米で実施しているという理由から、「ビタミンDと転倒」「カルシウム、ビタミンDと骨粗しょう症」を追加するという内容だった。しかし、厚生労働省の健康・栄養政策は、ビタミン・ミネラルなどの過剰摂取による健康被害の未然防止を重視している。

 一方、消費者庁はトクホ制度を活性化させるために、ビタミンDの摂取拡大につながる施策を打ち出したわけである。

 同検討会の結論を受けて、消費者庁は22年度以降にトクホ制度全般を見直す方針だ。その際には、今回と同じ轍を踏まないためにも、食事摂取基準を柱とする健康・栄養政策との「交通整理」を行うことが必須となる。

(木村 祐作)

コメント