現行法で規定する8種類の「困惑類型」をすり抜ける手口が登場
消費者庁の「消費者契約に関する検討会」は6月7日、2年10カ月におよぶ検討作業を終え、消費者契約法改正のポイントを整理した報告書を取りまとめた。次々と登場する新手の悪質な手口に対応するため、「困惑類型」に脱法防止規定を導入することが、改正の柱となる。
現行の消費者契約法は「困惑類型」として、8種類の行為を規定。事実と異なる効能効果など嘘の話をして契約させる「不実告知」、お願いしても帰らない訪問販売業者の「不退去」などの行為(8種類)は違法な勧誘に当たることから、契約してしまっても消費者に契約の取り消し権を認めている。
一方、法で定める8種類の行為のいずれにも該当しない新たな手口が登場。法の穴をすり抜けるようなトラブルが発生していることから、報告書は「困惑類型」について脱法防止規定の導入を提言した。
現行の8種類の行為のうち、「不退去」や「退去妨害(帰りたいのに解放してくれない)」などについては、実質的に同等と考えられる手口を対象に、網羅的に規制をかける脱法防止規定の導入が必要とした。
契約の判断を焦らせる行為も「困惑類型」に追加
報告書は、契約するかどうかの判断を焦らせる行為も「困惑類型」に追加するように提言している。
たとえば、美容整形クリニックへ相談を受けに行ったところ、「今すぐ契約すれば安くする」と言われ、熟考できずに契約してしまう事例などがある。十分に判断する時間を与えずに契約させる行為は、現行法で規定する8種類の「困惑類型」のいずれにも該当せず、対応が困難だった。
こうした報告書の提言を受けて、消費者庁は改正法案の作成を急ぎ、「できるだけ早急に国会へ提出したい」(消費者制度課)と話している。
(木村 祐作)
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