農研機構、東北大学、帯広畜産大学、理化学研究所の共同研究グループは9月5日、N2Oを分解する能力の高い根粒菌をダイズに優占的に共生させる技術を開発したと発表した。
研究グループは、根粒共生に見られる共生不和合性現象を利用し、N2O削減根粒菌が共生する根粒の割合を高めたダイズ共生系を開発した。不和合性現象とは、特定の不和合性遺伝子を持つダイズが、特定の根粒菌が分泌するエフェクターと呼ばれるタンパク質を認識して、その根粒菌の感染をブロックし、根粒の形成を阻止する現象をいう。
研究グループは、2種類の不和合性遺伝子を合わせ持つダイズを作出するとともに、自然変異によりエフェクターを作らなくなったN2O削減根粒菌を選抜し、両者を組み合わせた。この組み合わせにより、エフェクターを作らないN2O削減根粒菌は、不和合性遺伝子を持つダイズに優占的に共生することができるという。
その効果を実験室で調べた結果、不和合性遺伝子を持つダイズでは、N2O削減根粒菌が共生する根粒の割合が90%以上となり、土壌から放出されるN2O放出量は、不和合性遺伝子を持たないダイズの15%にまで減少した。
さらに、ほ場試験でもN2O削減根粒菌の根粒占有率は64%となり、N2O放出量は、N2O削減根粒菌を接種していない試験区の26%にまで減少した。
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