明大、腸内細菌の新たな乳酸応答機構を同定

「食」の機能性

 明治大学農学部農芸化学科ゲノム微生物研究室の島田友裕准教授らの研究グループはこのほど、大腸菌の乳酸応答転写因子LldRが、乳酸を炭素源として利用する遺伝子群や、乳酸の酸ストレスに適応するための遺伝子群を活性化することを明らかにしたと発表した。

 腸内細菌が乳酸に適応するための新たな分子機構が明らかとなり、乳酸菌を含む食品や飲料の効果の理解・応用が期待されるという。研究成果は、英国の国際学術誌「Microbial Genomics」(電子版)に掲載された。

 発酵乳や乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌は、腸内で多量の乳酸を作り、この効果によって有害菌の増殖が抑えられ、腸内腐敗の防止、腸内菌叢の正常化につながっている。しかし、腸内細菌の乳酸に応答する分子機構は解明されていなかった。

 研究グループは、大腸菌をモデル微生物として、大腸菌が持つ全ての転写制御因子の機能解明を目指す一環として、乳酸に応答する転写因子LldRのゲノム制御ネットワークの解析を実施。

 その結果、LldRは乳酸輸送体や乳酸デヒドロゲナーゼといった乳酸を炭素源として利用する遺伝子だけでなく、グルタミン酸を用いた酸耐性、膜脂肪酸組成の変化、グリコール酸の利用など、様々な機能の遺伝子群を活性化していることを確認した。

 乳酸菌と共培養させた際の大腸菌の生存率にも、LldRが大きな影響を及ぼすことを実証したと報告している。

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