【寄稿/第26回】未来に向けて花開く乳酸菌生産物質

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

「研究成果の灯は消してはいけない」と拝命

 今から109年前の大正時代、正垣角太郎氏によって日本でヨーグルトの製造販売が開始されて以来、乳酸菌の研究開発にも尽力し、4種の乳酸菌の共棲培養による乳酸菌飲料「エリー」から8種類の共棲培養による「ソキンL」へと開発が進んだ。

 そして、角太郎氏の子息である正垣一義先生がその研究を引き継ぎ、当時の陸軍に商品が採用された成果により、大谷光瑞農芸化学研究所の次長に就任。16種の乳酸菌共棲培養の研究の過程において、体の健康に効果があるのは生きた乳酸菌ではなく、乳酸菌の代謝する分泌物に体への健康効果があるという研究の大転換となる発見をした。

 第二次世界大戦の終わる1年前の1944年、今から79年前のことである。

 終戦後、16種の乳酸菌代謝物による商品「スティルヤング」の販売を開始したが、まだ乳酸菌自体の認知がない時代だったことから、売上は苦戦を強いられた。

 8歳の私が、その「スティルヤング」と出会ったのは昭和23年のこと。そして成人後、そのご縁で正垣先生の大谷光瑞農芸化学研究所に入社して、乳酸菌の開発技術と、世界の人々の健康に貢献するという理念を徹底的に叩き込まれた。

 そこで10年の研究と企業活動に従事した後に、正垣所長の特命により事業継承することとなった。今までの研究成果の灯は消してはいけないことと、さらなる研究の続行と世の中の人々の健康のための活動について厳しく申し渡された。

 それから25年間、サラリーマンをしながら起業化への二足の草鞋で活動。54歳の時に、健康食品業界に参入するために法人化することができた。

正垣所長が蒔いた種、79年の時を経て開花

 光英科学研究所として、乳酸菌の代謝物から成る乳酸菌生産物質の普及活動を展開し始めて、来年で30周年を迎える。

 最近になって、乳酸菌が発酵してつくり出した代謝物の体への有効性が科学的に認められてきた。また、消費者庁所管の機能性表示食品として、乳酸菌関連の食品が数多く販売されるようになった。

 終戦後の苦戦を経験しながらも、やっと時代が追い付いてきた、自分が83歳になるまで乳酸菌生産物質の明かりを灯し続けてきてよかったとつくづく思う。

 今にして思えば、先代の正垣所長の蒔いた種が、79年の時を経てやっと花開いたわけである。

 これからも、人々の健康に貢献するべく、乳酸菌生産物質の花を咲かせ続けることに専念していきたい。

第25回/第26回/第27回

コメント