機能性表示食品制度の改正、本来あるべき姿に近づくことを期待

食品/飲料

 小林製薬の紅麹問題を受けて、消費者庁は機能性表示食品制度の運用方法を抜本的に変更する方向で検討している。

 これまで届出ガイドラインによる運用を続けてきたが、ガイドラインは通知にすぎず、法的拘束力がなかった。このため、ルール違反の可能性が高い届出が見つかったとしても、国が強制的に届出撤回を求めることはできなかった。届出者と消費者庁の間では、届出資料をめぐって「禅問答」のようなやり取りも見られてきた。明らかに問題のある届出であっても、撤回されるまでに相当の時間を要したというのが実態だ。

 昨年6月30日に発表された景品表示法違反事件の余波で、88件の届出に疑義が生じた。しかし、いまだに届出が撤回されていない製品も多数存在する。そうした届出企業では、消費者利益への配慮はなく、自社の都合だけを優先しているようだ。

 あいまいな運用が制度開始から現在まで続いた結果、機能性表示食品に対する信頼性が揺らぎ、消費者団体や学識経験者などから批判が強まっていた。

 今回の制度改正は、当初予想された安全性確保の強化にとどまらず、有効性も含めた全面的な内容となりつつある。

 消費者庁では、届出ガイドラインに記載されている大部分を法令(内閣府令や告示)に落とし込む方向で検討している。この方向で改正が進めば、安全性・有効性の科学的根拠で明らかな問題を抱える届出は法令違反となる。食品表示法の観点から機能性を表示できなくなり、機能性表示食品市場から排除されることになる。

 制度創設に向けた検討が行われた当時、内閣府の消費者委員会は、ガイドラインによる運営では法的根拠があいまいになるという懸念を示していた。

 施行から10年目を迎え、機能性表示食品制度は本来あるべき姿に一歩近づこうとしている。改正後に制度の健全化が進み、消費者の信頼を取り戻せるか――消費者庁の手腕が問われそうだ。

(木村 祐作)

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