(株)光英科学研究所 代表取締役会長
村田 公英 氏
名付け親は先代所長の正垣一義氏
昨今、「共棲培養」について多くの質問をいただくことが多くなった。共棲培養に長年携わってきた者として、うれしい限りである。
まず前提として、私たちの健康は一生に渡り、腸内に暮らす多種類の腸内細菌群が共に助け合いながらつくり出す代謝物質により守られている。私たちの体の中で、すでに共棲培養が行われている、ということでもある。
その多種類の腸内細菌群はいつから体内にいるかといえば、生まれる前(胎内)では無菌の状態であるが、人間が生まれた瞬間に外界から菌が腸に住み着いて、そこから自前の腸内細菌群(腸内フローラ)となる。
そして、腸内では細菌群がその種類やバランスを保ちながら共棲状態で働き、人間の健康のためにと、代謝物質(乳酸菌生産物質)を毎日つくり続けてくれているわけである。
このメカニズムに、自然の摂理を常々感じる。私たちの健康において、腸に住み着いた細菌群とその菌が働くための共棲培養が不可欠である、ことは言うまでもないと思う。
そして腸内の細菌群が共棲培養でつくり出すものを、体外の工場で生産することを目的に誕生したのが「乳酸菌生産物質」である。
名付け親は当社先代の所長、正垣一義氏である。正垣所長は、天然物有機化学者・慶応義塾大学名誉教授の梅澤純夫博士と、深い交流があった。
梅澤博士は、青カビの代謝物「ペニシリン」が抗生物質としての効用があることを見出したことで有名だが、有益菌である乳酸菌の代謝物にも効用があることについて、大変な興味を持たれていたそうだ。
梅澤博士は、「私の研究する細菌は有害菌ですが、貴方のは有益菌ですね」と言われ、研究室の学生を数十人も動員して、正垣所長の乳酸菌生産物質について、当時では珍しいアミノ酸のペーパークラマトグラフィー分析をしていただいたそうだ。私も、当時の大きい用紙を使ったクロマトグラフの現物を見て、大変驚いた思い出がある。
そして正垣所長は有益菌の代謝物の研究を深め、16種の乳酸菌が共棲培養によりつくり出すものを乳酸菌生産物質と定義するに至った。この研究もあくまでも共棲培養の技術が基軸になっての事である。
菌もチームとなって働く
光英科学研究所に研究開発が継承されてからも、機能性が優れた新規の菌との入れ替えの開発をしながらリニューアルを施し、独自の乳酸菌生産物質が完成するに至った。
そして当社は16種の菌の第三者機関の検証をするべく、日本食品分析センター多摩研究所で同定を2年間に渡り実施した結果、16種35株という菌種が確定した。
その同定作業を行ってから20年が経過した。当時から現在にわたり、16種35株の共棲培養で生み出した乳酸菌生産物質を、多くの方に愛用いただいていることを大変幸せに思う。
多くの皆様の協力があって、今日に至っていることを実感している。1人では成しえないことも、チームとなって働くことで叶えられると思っている。
私は最近になって、16種35株の菌群を「チームKOEI」と呼称している。テレビニュースでは、今年の球界のスーパースターの大谷選手がドジャースのチームの一員となって戦い、見事にチームがワールドチャンピオンに輝いている映像が毎日のように流れている。
野球は1人ではプレーできない。彼の実績の礎はやはり「チーム力」なのではないか、と。真髄がここにあるように思う。
第41回/第42回
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