(株)光英科学研究所 代表取締役会長
村田 公英 氏
企業秘密だった大豆の使用
前回に続き、16種35株の乳酸菌・ビフィズス菌の培地である豆乳づくりに用いる「大豆」について話を進めていく。

昔から大豆はたんぱく質が豊富で「畑の肉」と言われ、発酵させることで味噌、醤油、納豆となる。また、暗いところで発芽させると、もやしにもなる。大豆加工の代表的なものは、炒った大豆を粉にしたきな粉があり、豆乳にして「にがり」を加えて固めると豆腐となる。
このように大豆食品は日本人の食生活を支えてきた。特に発酵性大豆食品は、摂取量が多いほど総死亡リスクの低下がみられており、日本特有の食品であり、世界的長寿国・日本となった要因でもある。
筆者が先代の研究所に入社した頃は、乳酸菌生産物質の製造に大豆を使用していることは重大な企業秘密だった。
見学の方が来所される時も、正垣所長から冷暗保存している大豆倉庫には案内しないように注意されていた。その大豆は正垣所長自ら穀物問屋に行って選定し、注文したものだった。
大豆は乳酸菌生産物質の1丁目1番地
大豆を原料として乳液状にしたものが豆乳だが、菌の培地として発酵に使う豆乳は、発酵に即した大豆で作ることが肝要である。

現在、光英科学研究所では石川県の農場と契約して、農薬を使用しない畑で栽培した大豆を使用している。除草剤も使用しないため、手作業で雑草を除草している。
農薬を使用しない土壌の畑では残留農薬のリスクが低く、一部の研究では栄養価などが豊富で面積当たりの有機物の量が高く、栄養損失が少ないため、栄養成分が安定しているといった報告もあるようだ。
16種35株の乳酸菌・ビフィズス菌を発酵させるための豆乳を作る大豆はとても大切である。筆者は大豆を乳酸菌生産物質の1丁目1番地と考えている。次回は、よく分かる豆乳のメタボローム解析について話す。
第45回/第46回
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