【寄稿/第47回】乳酸菌生産物質の製造の特徴④ メタボローム解析

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

代謝物質を網羅的に解析

 今回は、乳酸菌生産物質の機能性成分を決定付けたメタボローム解析について説明する。

 私たちが生まれたときから腸内に定住している腸内細菌群がつくり出した健康に寄与する代謝物質は、腸管から吸収されて血中に移行して全身を巡る。そのため全身に影響して、私たちの身体全体の健康維持のためのコントロールをしていると言っても過言ではない。

 その代謝物質を網羅的に解析したのがメタボローム解析技術である。

 このメタボローム解析については、22年前の2003年に慶応義塾大学発で起業したベンチャー企業HMT(ヒューマンメタボロームテクノロジー)社が一般企業向けに2010年からメタボローム受託解析事業を開始している。その時に健康産業業界では初めて当社が、乳酸菌生産物質の解析を依頼した。

 その結果、乳酸菌生産物質は34のペプチドを含むイソフラボン、レスベラトロールなどの水溶性・脂溶性を合わせた352種類の物質で構成されていることが判明した。

 即刻、指導をいただいていた東京大学名誉教授(故)光岡知足先生にデータの報告に赴くと、「これで私の長年の研究が実証された。特に菌と菌がつくり出した代謝物に新規性が認められる」と積年の思いがこもった言葉をいただき、我々も事の重大さを痛感した次第である。

業界の先駆けとなった科学的根拠

 この解析結果は、乳酸菌・ビフィズス菌の16種35株のチームが体の外の工場にてつくり出した代謝物であり、業界の先駆けとなる科学的根拠であると思慮している。

 今般、順天堂大学と共同で取得した特許をはじめ、これまで積み上げてきたさまざまなエビデンスは乳酸菌・ビフィズス菌の基礎研究の上に成し遂げたものであり、これからも細胞レベルでの研究を続けてゆくことが、世の中の多くの人々の健康維持に貢献するための成道であると確信している次第である。

 次回は、この代謝物をつくり出すためのチームKOEI(乳酸菌・ビフィズス菌の16種35株のチーム)の働きについて話す。

第46回/第47回

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