(株)光英科学研究所 代表取締役会長
村田 公英 氏
人相・手相に並ぶ「腸相」
今回は当社工場の大型発酵タンクの働きについて説明する予定だったが、その前に読者の皆様の体内にある大腸の働きについて話したいと思う。
なぜなら大腸は、人体における「発酵タンク」と言えるからである。そのことについて、長年にわたる乳酸菌共棲培養研究の経験から、筆者の考察を通してわかりやすく伝えられればと思う。

さて、私たち人間が毎日食べているものは小腸で消化吸収され、その余り物(食物繊維など)が大腸に送り込まれる。
大腸は太さ5~8cm、長さ150~180cmの管状の消化器官で、その中に存在している腸内細菌は1,000種類100兆個、重さにして1.5~2kgもあると言われている。
これらの腸内細菌は個々にバラバラに生息しているのではなく、多種類の菌が群れをつくって生息している。その様子がまるでお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれている。
人間は母体(胎内)にいるときは無菌状態であるが、誕生した瞬間から体内に微生物が入り込む。
こうして生まれたときに腸の内壁に隙間なくびっしりと腸内細菌が住みつき、「腸内フローラ」を形成するのだが、その菌群の状態は安定して定着し、そのパターンは基本的に一生変わらないため、人相・手相に並ぶ「腸相」とも言われている。
「終わりのない連続培養」が大腸の発酵システム

話を戻すと、私たちが食べたものは小腸で吸収され、その余りものが大腸に到達するわけであるが、その余り物こそが腸内細菌たちの大事なエサになって発酵・代謝が行われている。これが、大腸が人体における「発酵タンク」である、といわれる所以である。
腸内細菌たちは大腸の発酵タンクにおいて健康を司る代謝物質をつくり出し、その代謝物質は大腸壁の組織を通じて、人間の体内に送り込まれている。
腸に棲む腸内細菌が休みなく、私たちの大腸タンクにおいて発酵・代謝を続けていることから、「終わりのない連続培養」が大腸の発酵システムであると筆者は考えている。
以上が大腸発酵タンクの世界の一部になるが、ご理解いただけただろうか。次回は、当社工場における大型発酵タンクとの関連について解説する。
第48回/第49回
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