果物の摂取量が多いほど、うつ病のリスク低下

「食」の機能性

国立がん研究センターなどの研究グループがコホート研究

 果物の摂取量が多いほどうつ病の発症リスクが低いことが、国立がん研究センターと国立精神・神経医療研究センターなどで構成する研究グループのコホート研究でわかった。

 研究グループは1990年時点に長野県南佐久郡に在住していた40~69歳の約1万2000人のうち、2014~15年に実施した「こころの検診」に参加した1204人のデータを解析。野菜や果物、フラボノイドを豊富に含む果物の摂取とうつ病との関連を調べた。

 これまでに報告された調査・研究により、野菜や果物の摂取がうつ病に予防的に働く可能性が示されている。特にフラボノイド(ポリフェノール化合物)は脳由来神経栄養因子や、酸化ストレスと神経炎症の抑制作用により、抗うつ効果を持つことが示唆されていた。

 今回の研究の対象となった1204人のうち、93人がうつ病と診断された。解析の結果によると、果物の摂取量が多い人、フラボノイドを豊富に含む果物の摂取量が多い人で、うつ病の発症リスクが低かった。

果物の抗酸化作用などによる予防効果の可能性

 果物については、摂取量が最も少ないグループと比べて、摂取量が最も多いグループのうつ病のオッズ比は0.34だった。フラボノイドが豊富な果物については、最も少ないグループと比較して、最も多いグループのオッズ比は0.44倍だった。

 これらの結果から、フラボノイド固有のメカニズムというよりも、果物全体が持つ抗酸化作用などの生物学的作用によって、うつ病発症に対して予防的に働いた可能性があると考察している。

 一方、野菜の摂取とうつ病との関連は見られなかった。

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