【寄稿/第29回】共棲培養乳酸菌 16種35株の同定

健康食品/サプリメント

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

日本食品分析センターY課長の見解

 大谷光瑞農芸化学研究所から光英科学研究所の名称にて乳酸菌共棲培養技術を継承し、今年で54年になる。

 長年の研究を経て、乳酸菌生産物質を製造するために使う乳酸菌・ビフィズス菌の共棲培養のための16種類の菌についてはすでに確定していたが、菌株を共棲状態で継代培養するにあたり、菌同士の組み合わせでは100組以上のグループが存在するかたちとなっていた。

 ただ、乳酸菌生産物質について広く市民権を得るには、使用している菌株について第三者機関の検証が必須と考え、国際的に権威のある日本食品分析センターで同定してもらうこととなった。それが今から20年前のことである。

 日本食品分析センターの当時の菌株同定における分析料金は、乳酸菌が1株25万円、ビフィズス菌が1株50万円だった。100組以上の組み合わせのため、すべて同定しようとすれば、分析サンプルも多数にわたる。

 ただ、依頼を受けた日本食品分析センターの担当Y課長は、「村田社長(当時)、1組の中に数種類の乳酸菌を組み合わせているとおっしゃいますが、継代するうちに強い菌が生き残って1種類になっていると私は思いますので、(同定に)多くの費用はかかりません」との見解をキッパリと述べてくれたことから、とにかくサンプルとして1組の同定を依頼することができた。

35の菌株が判明、研究のターニングポイントに

 同定とは微生物の種名を明らかにする作業で、同定の結果、菌種が判明し、同時に菌の性状が解明される。

 微生物の研究において、使用する菌株の同定が不正確であった場合は、その研究自体の信頼性が落ちてしまうほど、菌株が同定されているかどうかは重要項目になっている。

 さて、試しに1組のサンプルを提出してから1カ月後、Y課長から電話があった。

 「村田社長、驚いたことにお預かりした1組のサンプルの中に5種類の菌株が確認できました。その他のサンプルもすべて同定するとなると、分析金額は相当なものになると思われます。いかがですか、この先、全部の同定に進みますか?」

 分析する菌株の総合計から見積もると、数千万円をはるかに超える金額になるが、私に異論はなかった。あえて、すべてのサンプルについて菌株同定を実行することにした。そして、日本食品分析センターによる2年間に渡る同定作業が開始されたのである。

 同定の詳細については、当社ホームページで、(1)LACT BIOME、(2)乳酸菌の共棲培養、(3)共棲培養の証明、(4)試験報告書 全文――の順に、タップして閲覧すると、詳しく説明している。

 このように同定した結果、16種類の乳酸菌・ビフィズス菌にて、その菌株としては35もの菌株が存在していることが判明した。

 16種16株ではなく、16種の乳酸菌でありながら16株ではなく35株もの菌株が見出されたのは、筆者としては、これこそが共棲培養のなせる業なのではないかと思っている。

 この同定の結果は、筆者にとっても研究人生における最大のターニングポイントとなった。長年にわたり継続してきた「共棲培養」にさらなる確信が得られたわけである。

 次回、年末のブログは「そうだったのか!共棲培養」を予定している。

第28回/第29回/第30回

コメント