伊藤園と北里大、加齢性難聴に対する緑茶成分の有効性で共同研究

「食」の機能性

 伊藤園と北里大学医学部・藤岡正人教授らの研究グループはこのほど、加齢性難聴に対する緑茶成分の有効性に関する共同研究を開始した。

 超高齢社会の到来に伴って加齢性難聴は増加の一途をたどり、推定患者数は1,500万人以上。難聴は認知症発症の最大のリスクファクターで、認知症患者の9%が難聴を原因として発症するとみられている。

 北里大学では、難聴患者の採血検体からiPS細胞を樹立し、病気の内耳細胞を作製して病気の原因や治療法探索を調べる研究技術を保有。今回この技術を用いて、伊藤園中央研究所が保有する多数の緑茶含有成分の中から、内耳細胞保護効果を探索する研究を産学共同で行う。

 iPS細胞技術の健康食品・ヘルスケア領域への応用は世界的に見ても乏しく、今回の研究は、iPS細胞の活用方法の裾野を広げる社会実装研究となる。また、ヒト細胞を活用して加齢性難聴に対する効能効果が実証された医薬品は皆無で、その基礎研究は意義深いとしている。

 伊藤園グループでは、全ての製品開発で動物実験を実施しない方針を掲げている。一方、機能性表示食品や特定保健用食品の開発における基礎的研究の質の担保は重要な課題となっている。

コメント