国立がん研究センターはこのほど、コホート研究によって、抗酸化物質の摂取量が多い人で、肺炎の死亡リスクが低下する傾向が見られたと発表した。
1995年と98年に全国の11地域に在住していた45~74歳の人で、がんや循環器疾患などの既往がなかった約8万6000人の男女を対象に、2018年まで追跡し、抗酸化物質の摂取と肺炎の死亡リスクとの関連を調べた。食物摂取頻度調査票の回答結果をもとに、主要な抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、α-カロテン、β-カロテン、レチノール、クリプトキサンチン、リコピン)の摂取量を推定した。
約20年間の追跡調査中に、男性813人、女性477人が肺炎で死亡。分析した結果、男性ではビタミンCとクリプトキサンチン、女性ではビタミンE・クリプトキサンチン・リコピンについて、摂取量が多いほど肺炎の死亡リスクが低くなる傾向にあった。
これらの栄養素には、体内で発生する有害な活性酸素を抑制する作用があり、酸化ストレスや炎症を緩和する。また、免疫の働きを助けたり、肺の粘膜を守ったり、体内の炎症をコントロールする仕組みを整えたりすることで、肺炎の重症化を防ぎ、死亡リスクを下げる可能性があると考察している。
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