【寄稿/第52回】乳酸菌生産物質の製造の特徴⑨ 大腸発酵タンクのしくみ

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

善玉菌にとって容易でない栄養物の摂取

 前回は、工場の発酵タンクと私たちの体内にある大腸発酵タンクの中で腸内細菌群が発酵するための栄養物(エサ)をどのように摂取しているか、その違いを話した。今回は、それぞれの栄養物(エサ)についての特徴を話す。

 工場の発酵タンクの栄養物(エサ)としては、16種35株の善玉菌チームが充分に働いて、なるべく多くの代謝物をつくり出すように特別製の豆乳を設計して使用している。ところが腸内発酵タンクの場合は、腸内の善玉菌チームにとって簡単には栄養物が摂取できない。

 その理由として、善玉菌専用の栄養物ではないことがある。発酵の基本となる培地として小腸から送り込まれてくる栄養物等に加えて、大腸の粘膜から分泌される粘液成分から構成されていて複雑な性状となっていて、善玉菌にとって最適な成分だけではない状況となっている。

 小腸から送り込まれる栄養成分にしても、そのヒトの食生活や体調によって変化して一定の成分が得られないのが実情である。

 そして最大の難関は大腸内にはそのヒトに定着している善玉菌群のほかに、悪玉菌と日和見菌群が存在していることである。

圧倒的に多い日和見菌の割合

 このように大腸内タンクの発酵に係る環境は善玉菌群にとって厳しく、デリケートな常態にあるが、一般的に善玉菌2・悪玉菌1・日和見菌7の割合を維持することが健康にとって大切だと言われている。

 ここで注視しなければいけないのは、日和見菌の割合が7と圧倒的に多いこと。日和見菌は培養が困難なため、その性質がよく解っていないため、未知の細菌として知られている。

 善玉菌が優勢な時はそれを応援して有用な働きをするが、悪玉菌が優勢になると一緒になって有害物質をつくる。

 日和見菌を味方につけるには、善玉菌に活力をつけることであるが、その方法については次回に話す。

第51回/第52回

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