<コラム> 健康食品の広告に“安全地帯”はない(前)

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 消費者庁は9月9日、通販大手の山田養蜂場に対し、サプリメントの広告が景品表示法に違反するとして措置命令を出した。

 同社が発信したプレスリリース上の表示が違反に問われた。自社ウェブサイトとPR TIMESに、新商品のサプリメントのプレスリリースを掲載し、新型コロナの感染予防や重症化予防の効果があると表示していた。

 健康食品の販売業者はかつてからプレスリリースに、疾病に対する効果や身体の部位に対する影響などを表示してきた経緯がある。それは大手企業も中小企業も同じ。さらには、そうしたプレスリリースを受けて、一般紙でそのままの表現で記事化されることも散見された。

 今回の山田養蜂場にも言えるのだが、プレスリリース以外で疾病に対する効果を堂々とうたうわけではない。これは、プレスリリースは“安全地帯”と誤解しているからではないだろうか。

 記者は数年前、データ・マックスのヘルスケア部門の編集長だった当時、外部ライターとともに、健康食品のプレスリリースが薬機法に違反するとして、誌面で問題提起を行った。しかし、当時、行政サイドの動きは見られなかった。もっと深刻な、消費者に悪影響を与えるような表示が横行していて、それどころではなかったのだろう。

 “安全地帯”と言えば、アフィリエイト広告についても、そう考えていた企業は少なくなかった。しかし、消費者庁がアフィリエイト広告の検討会を開き、販売業者に責任があるとする考え方を明確にした結果、誤解は解消された。

 かつて、電車内でよく見かけた乳酸菌の効果を宣伝したつり広告も、最近では見かけることが少なくなった。まず、「〇〇乳酸菌」の成分広告で、疾病などへの効果を確認したという研究データを宣伝。次の週あたりに、「○○乳酸菌入りヨーグルト」を宣伝するという、時間差攻撃である。

 これは、消費者の頭の中で一体化させることを狙った手法である。当然、関連法規に抵触する。行政の指導もあって、今では“安全地帯”ではなくなった。

(木村 祐作)

(後)

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