健康食品用カプセルの有力メーカー、クオリカプスによるカプセル製品の自主回収が、健康食品業界に波紋を広げている。食品衛生法に違反することから、内容物を充填する前のカプセルの自主回収が始まったが、内容物を入れた最終製品については販売各社の判断に委ねられ、各社では頭を抱えているようだ。
クオリカプスは6月下旬、健康食品用カプセル3製品を自主回収すると発表した。同社は離型剤の成分に「流動パラフィン」と「二酸化チタン」を使用していたが、食品衛生法で禁止する目的外使用に当たることが判明。地元の保健所の指導に従って、自主回収を決定したという。
同社による自主回収は、内容物を充填する前のカプセルが対象。食品素材を充填済みの最終製品については対象外となり、それぞれの取引先企業が判断しなければならない。
同社を指導した郡山保健所によると、カプセルを購入した取引先企業が各地域の保健所に相談し、個別に判断することになるという。郡山保健所の担当者は、「食べてすぐに健康被害が出るわけではないので、判断が難しい」(衛生課)と話している。
同社のカプセルを使用する健康食品販売会社は、大手から中小まで多数に上る。各社は自主回収するかどうかで頭を痛めているようだ。ある企業の関係者は「自主回収をめぐって社内で意見が分かれている」と打ち明ける。別の企業からは「他社への切り替えによって、カプセルの需給がタイトになっているようだ」の声もあり、業界全体に影響しかねないという。
取引先企業では、地元の保健所に相談しながら今後の対応を検討中とみられる。それぞれの保健所の判断が異なれば、自主回収するケースと販売を続けるケースが混在するという状況が生じてしまう。
そうした懸念があるため、厚生労働省は事態の収拾に乗り出す構えを見せている。同省の担当官は「充填済みの製品も含めて情報収集しているところであり、現時点で回収すべきかどうかは回答できない」(医薬・生活衛生局食品監視安全課)と説明。ただし、「保健所によって指導内容が異なるようにはしない。何らかの結論を出したい」とし、一定の見解を示す方針を固めている。
(木村 祐作)
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