【寄稿/第56回】乳酸菌生産物質の製造の特徴⑬ 大腸発酵タンクの老化

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

加齢で腸内細菌叢の構成に変化

 今回も前回に続き、私たちの体の中の大腸(筆者は「大腸発酵タンク」と呼んでいる)の中に棲んでいる善玉腸内細菌について話す。

 私たちの大腸発酵タンクの中では、多くの善玉菌が群れをなして、いわゆるチームを形成して働いている。この菌のチームは大腸の内壁にびっしりと定着しており、その表面積はテニスコート半面分と言われている。

 物理的には、これらの善玉菌は腸内壁の腸管上皮細胞と共存しており、そこで連続共棲培養が行われている。そこで得られた代謝産物(乳酸菌生産物質)が、その人の健康を支えるために腸管上皮細胞を通して体内に吸収されるという仕組みである。

 ところが、加齢に伴い腸内細菌叢の構成には変化が発生する。その結果、多様性が低下して善玉菌が減少し、悪玉菌が増加して健康寿命にも影響が出る。

 このように言うと、あたかも善玉菌自体が老化したのかのように思えるが、実は、老化するのは善玉菌と共生関係にある、腸壁面の腸管上皮細胞のほうなのである。

 体の細胞は限られた回数しか分裂増殖することができない。分裂の限界は約50回で寿命に換算すると120年と言われている。加齢により腸管上皮細胞の働きが老化により劣化していくと、健康を支える乳酸菌生産物質が大腸発酵タンクの中で十分につくり出せなくなる。

 ちなみに、減少した善玉菌の働きを補うために腸内細菌に最適な食品を食べて菌に栄養分を与えてみても、老化した大腸発酵タンクにおいて菌が復元することは厳しく、さらに、菌自体の数を補うため元気な生きた善玉菌を摂ってみても、そもそも腸内壁には定着することは難しい。

乳酸菌生産物質の出来高が下向

 筆者の考察によると、若い時から腸内環境に留意した生活をしていても、老化の速度の差異はあるにしても腸を形成している細胞の老化は進む。

 そして、人が生まれたときから健康を支えるための腸内細菌叢の代謝産物である自前の乳酸菌生産物質の出来高は下向していく。

 人生100年時代になった現在、健康寿命を延ばすためには、体の外で乳酸菌生産物質をつくり、体に摂り込むことが健康にとって最も合理的な作戦であり、これを世界のできるだけ多くの人々に認知してもらうため、筆者自身、残る人生を邁進していきたいと思う。

第55回/第56回

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