【寄稿/第58回】乳酸菌生産物質の製造の特徴⑮ 大腸発酵タンクの集大成その2

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

解明されつつある細菌同士のコミュニケーション

 今回も私たちの大腸(筆者は大腸を体内における発酵タンクと位置付けて「大腸発酵タンク」と呼んでいる)について話を続ける。

 最近は「健康」と言えば、腸内環境について最初に注目されるようになった。次に、大腸発酵タンクの中に棲んでいる腸内細菌たちの働き方についても見極めるようになった。

 この細菌たちがまるで花畑のように群れをなして生息していることから、一般的に「腸内フローラ」と呼ばれていることはご存知だと思う。細菌たちはチームを形成して棲み着いているわけである。

 前回、この腸内細菌たち(腸内フローラ)の菌株とバランスは私たちが生まれて6カ月でほぼ決定すると話したが、この有様は「自然の摂理」に基づく自然現象と説明されている。

 その自然の摂理によって形成された腸内フローラについて、現在、科学的な解像度がメタゲノム解析により上がってきており、大腸発酵タンクの中における細菌同士のコミュニケーションについてもメカニズムが解明されつつある。

 現在に至るまでの菌の研究は、自然界で菌叢(菌のチーム)を形成して生きている細菌群を見つけて、それを単菌に分離して純粋培養を行い、一つひとつの菌の生体を見極めるという丁寧な仕事によって行われていた。

 それは良いのだが、単菌における代謝物の機能性を表示したものにとどまっている。

「私たちの大腸発酵タンク」のメンテナンスが重要

 私のように研究所に入社した時から多種類の細菌を相手にして、主に菌と菌の関係に関する研究を続けた者の意見としては、乳幼児の期間に大腸発酵タンクに腸内フローラが形成されるという「自然の摂理」を大切にしながらも、人間はいつでも自分の大腸発酵タンクに目を向けているべきではないかと考えている。

 一生にわたる優良な腸内フローラの持ち主になるための「ガイドライン」を国が率先してつくるべきとも思う。

 繰り返しになるが、乳幼児期に基本的に確定した腸内フローラは、その人の一生の健康を支えていくが、その時点で確定した腸内フローラに後から加えた腸内菌を定着させることは容易ではない。

 すなわち、優良な腸内フローラの持ち主になるためには、大腸発酵タンクで産生される物質が鍵になることは言うまでもない。

 乳幼児の時期はその人の一生の健康にとって大切な「時期」であるが、そこで形成された腸内フローラ「私たちの大腸発酵タンク」をメンテナンスし続けることが重要であることをぜひ認識してほしい。

第57回/第58回

コメント