「むし歯」限定でサロゲートマーカーを使用
消費者委員会新開発食品調査部会は3月28日、特定保健用食品(トクホ)の疾病リスク低減表示の改正案について議論し、一定の理解を示した。消費者庁は4月中にパブリックコメントの募集を開始し、6月中にも通知を改正する方針だ。
3月1日の同部会では多数の委員が、議論が不十分として再度検討を行うことを要望。このため、今回の会合で消費者庁は改正案に至った経緯を説明した。
改正案では、「むし歯」についてサロゲート(代替)マーカーを評価指標として用いる考えを提示。代替マーカーは「プラークpH」「脱灰、再石灰化」としている。
消費者庁の調査・検討事業では、「プラークpH」「脱灰、再石灰化」を評価指標と位置づけることは妥当と結論づけた。むし歯は食品中の糖質とプラーク中の細菌が直接反応し、歯表面のpH低下による脱灰と再石灰化が繰り返されて発症することを理由に挙げた。
一部の委員は、むし歯で代替マーカーを認めた場合、ほかの疾病にも拡大していくことを懸念。これに対し、消費者庁は「むし歯は特異的な例」と説明し、理解を求めた。
「(疾病名)のリスクを低減するかもしれません」という表示を「――可能性があります」に変更する案についても、「強い反対意見は出なかった」(消費者委員会事務局)という。
共通ルールの検討が先では?
同部会から一応の理解を得たものの、各委員が抱く懸念が解消されたわけではない。問題点は主に次の2点に集約できる。
1点目は、これまで疾病リスク低減表示はハードエンドポイントを評価指標としてきたため、代替マーカーを認めた場合、科学的根拠のレベルが2段階に分かれてしまう。
2点目は、一般的なトクホでは代替マーカーを用いるケースが多く、疾病リスク低減表示との境界線がぼやける。
表示方法の変更についても、科学的な視点による整理が行われていないことを問題視している。
疾病リスク低減表示の拡充に向けては、申請基準の明確化も含め、制度全般の横断的なルールの見直しが優先される。そのうえで、個々の疾病に代替マーカーを用いることが適切かどうかなどを検討するというのが、本来の手順だったと言えそうだ。
(木村 祐作)
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