植物由来フェルラ酸から「バニリン」を生成する酵素を開発

　東京理科大学創域理工学部生命生物科学科の古屋俊樹教授らの研究グループは5月16日、酵素タンパク質を分子進化させることで、植物由来フェルラ酸から一段階で「バニリン」を生成する酵素の開発に成功したと発表した。

　バニラアイスクリームやシュークリームの甘い香りの主成分は、ラン科のバニラ属植物から得られる化合物「バニリン」。さまざまなスイーツの香料や香粧品に使用されるが、植物からの抽出で得られる量は限られているため、価格が高騰しやすい。

　研究グループは、フェルラ酸と構造が似ているイソオイゲノールという化合物を変換する酵素に着目。この酵素タンパク質を分子進化させたところ、3つのアミノ酸残基を変えるだけで、フェルラ酸をバニリンに変換できることを見いだした。

　フェルラ酸は米ぬかや小麦ふすまなどから豊富に得られる化合物。フェルラ酸と開発した酵素を常温で混ぜるだけでバニリンを生成できるという。企業との共同研究により、開発した酵素を利用したバニリン生産の実用化を目指すとしている。