【寄稿/第39回】乳酸菌のチームつくりと共棲培養

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

腸内細菌が多くのチームを形成

 今回も乳酸菌の立場に立って、乳酸菌生産物質の製法の軸である「共棲培養」について、「乳酸菌のチームつくりと共棲培養」というテーマで述べてみたい。

 まず前提として、人間の腸内には多種多様な微生物が生息している。それらの腸内細菌は単独で生息しているのではなく、多くのチームを形成して腸内で暮らしている。

 そして腸内の細菌チームがバランス良く、まるでお花畑のように叢(くさむら)をつくっていることから、その様子を「腸内フローラ」とも呼ぶ。

 腸内では細菌チームそれぞれが共に発酵し、体の健康に寄与できる代謝産物をつくり出している(こうして共に助け合いながら発酵している様子は、光英科学研究所の「共棲培養」の考え方の礎でもある)。

 腸内の菌のチームのバランスはヒトが生まれた時から変化なく維持されており、人間と腸内細菌は一生を共にする。人間は腸内細菌に腸管という生息地を提供し、腸内細菌はそれに応えるかのごとく代謝物を生産し、人間の健康を司る。私はいつも、ここに自然の摂理のすばらしさを感じている。

チームを組ませる菌同士の相性が重要

 さて、菌のチームづくりについて、もっと述べてみたいと思う。スポーツの世界では、1人ひとりが試合を勝ち抜いていく個人戦や、チームで試合をする団体戦など、さまざまな試合方法がある。

 人間の腸内においては、腸内細菌同士が共生して代謝物を作っているので、スポーツに例えるとチームによる団体戦であり、総当たり戦とも言えるだろう。

 乳酸菌生産物質は、体の外の工場で共棲培養を行うので、製造においては乳酸菌のチームつくりが重要となる。スポーツのチームにおいても、メンバーのチームワークが大事なように、チームを組ませる菌同士の相性がポイントとなる。互いに助け合い、高め合う関係が大事なのである。

 実際、当社の乳酸菌生産物質の製法が確立するまでには、相性の良い菌のチームつくりに長い年月がかかった。

 相性の良い乳酸菌で小さいチームを複数つくり、それらを1度に集めるのではなく、段階を経てチーム同士を組み合わせる。最終的にチーム全部がまとまり、すべての菌同士が共棲している状態になったものを、光英科学研究所では乳酸菌生産物質製造のマザースターターとして使用している。

 このマザースターターを構成している乳酸菌のチームについて、日本食品分析センターで2年間かけて同定し、16種類35株からの構成であることを確認している。

 以上が「16種35株の共棲培養」という製法に至る経緯である。

 学術界の論文などを拝見すると、複数種の菌を同一環境で培養することを共培養と表現しているが、共培養と、当社が乳酸菌生産物質の製法としている「共棲培養」には歴然とした差異があることを理解してほしい。

 そして、体の中にしても外にしても、ヒトの健康に寄与できる乳酸菌の代謝物をつくり出すことに目的があることは言うまでもない。

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