【寄稿/第61回】乳酸菌生産物質の製造の特徴⑱ 腸内フローラは共棲培養

寄稿・ブログ

(株)光英科学研究所 代表取締役会長

村田 公英 氏

腸内フローラは共棲培養が前提

 今回は腸内フローラと共棲培養について話を進める。私たちの腸内フローラは共棲培養が前提となっている。共棲培養が前提となる理由について説明する。

 腸の中では多種類の細菌が同時に存在して、お互いに影響し合って生存している状態にある。食事として食べたものは消化吸収され、その残り物を多様な栄養源として、それぞれの菌が利用して余すところなく使う「すみ分け」のシステムが腸には備わっている。家族が食卓を囲んで食事をしているのと同じ風景である。

 そして、お互いにつくり出した代謝物を食べ合う関係になる。これは多種類の菌がチームを作っていればこその流れであり、1種類の菌では途中で止まって安定したコミュニティーにはならない。

 このように多様な菌が共存しつつ、全体としてバランスを保持して安定する仕組みは共棲培養の産物に他ならない。

 そして共棲培養では、ある菌がつくり出した代謝物を別の菌がさらに変換する「二次発酵」が起こるので、その分代謝物が多様化することになる。

この二次発酵については、体の外の乳酸菌生産物質を製造する培養タンクでの共棲培養の際にも発生する現象であり、菌と菌がつくり出した代謝物の存在がメタボローム解析によっても確認されている。

安定したコミュニティーを形成

 ここで自然界に目を向けてみると、腸内細菌や土壌微生物などは「1種類だけの単独生活」ではなく、群れとして共生している。

 自然の摂理を生態系の中で生物同士がつながり合いながらバランスを保つ仕組みを知れば知るほど、その一部を人工的に共棲培養によって再現した乳酸菌生産物質の研究に人生を賭けてきて、本当に正解だったと思っている。

 ある菌種の出す栄養物や代謝物を別の菌が利用することで、競合しつつも最終的には安定した「コミュニティー」を形成しているという現実が自然界にはある。腸内フローラも生まれは自然界である。

 「腸内フローラのエンジンは共棲培養にある」

 腸内フローラの本質、お分かりいただけたかと思う。

第60回/第61回

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