機能性表示食品検証事業報告書 「一部開示」命じる~東京地裁

健康食品/サプリメント

 消費者問題専門家が消費者庁の機能性表示食品に関する検証事業報告書の開示を求めた訴訟で、東京地裁は10月4日、一部について開示を命じる判決を言い渡した。

 原告は消費者問題専門家の佐野真理子氏。佐野氏は2018年2月、消費者庁が実施した「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業」の報告書の情報開示が不十分として、国を相手取って提訴した。

 同検証事業は、機能性表示食品に含まれる機能性関与成分の含有量や分析方法を調査。表示値のとおり、成分が含有されているかどうか、事業者が届け出た分析方法に再現性があるかどうかを検証した。

 原告側は、調査結果や商品名が非開示のため、消費者の商品選択につながらないと批判。消費者利益を確保する観点から、報告書の詳細情報の開示を求めた。

 一方、消費者庁はそれぞれの商品の調査結果を公表すると、届け出た事業者の信頼低下につながり、今後実施する検証事業にも支障が出ると主張した。

 東京地裁は、分析方法の「定性」「定量」に関する調査結果については、開示が妥当と判断した。「定性」については機能性関与成分の同定が可能かどうか、「定量」については第三者が分析可能かどうかを「〇」「△」「✕」で記載したことから、「詳細な事業者のノウハウや営業秘密にわたる部分は含まれていない」と指摘。これらの開示によって、事業者の利益を害するとは言えないとの見解を示した。加えて、検証の対象とした機能性関与成分の名称も開示するように命じた。

 原告側が求めていた検証結果などについては、消費者庁が行う業務に支障が出る可能性があるとし、原告側の主張を退けた。

 新井ゆたか・消費者庁長官は6日の定例記者会見で、「判決内容を精査中だが、個人としては重い判決と受け止めている。対応を検討するように指示している」と述べた。

 原告の佐野氏は、「非開示部分の1割が開けられた。少しでも開示されたことに喜んでいる」と話している。

(木村 祐作)

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